いろはのJapaBlog

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日本語教育能力検定試験ってなに??【概要・メリット・デメリット】

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みなさん、こんにちは!

新米ママ兼日本語教師のいろはです!

 


最近よく日本語教師になりたい方から、何の資格がいるの??と聞かれることがあるんですが・・・

 

資格
  • 四年制大学や大学院で日本語教育を専攻する
  • 日本語教師養成講座420時間コースを修了する
  • 日本語教育能力試験に合格する
 
この3つのうち、いずれかを満たしていれば日本語教師として働けます。
 
 
詳しくはこちらの記事にまとめているので、ご覧ください!

www.irohanojapablog.com 

 

そして、この3つの資格のうち、日本語教育能力試験とはいったい何ぞや(゜-゜)と聞かれます。

 

受けなくても日本語教師になれるなら、受けなくてもいいや!という人も多いです。

 

色んな意見がありますが、私は日本語教育能力試験は受けるべきだという考えです。

 

 私も日本語教師1年目に、日本語教師養成講座に通いながら勉強して合格しましたが、これでもかと勉強した記憶があります。非常に精神的にも体力的にも辛かったですが、受けて良かったと思える試験でした。

 

今回、この記事では3つ目の資格【日本語教育能力検定試験】にスポットを当てて【概要・メリット・デメリット】について説明します。

 

私自身が勉強していた時の所見も交えて解説しますので、参考程度にご覧ください。

 

 

 日本語教育能力検定試験とは??

概要

目的

公益財団法人 日本国際教育支援協会年1回行っている検定試験です。

検定試験の目的は下記のとおり。

日本語教育能力検定試験は、日本語教員となるために学習している方、日本語教育に携わっている方に必要とされる基礎的な知識・能力を検定することを目的としています。

引用元:公益財団法人 日本国際教育支援協会

引用元URL:JEES 日本語教育能力検定試験ホーム

 

国家試験ではありませんが、日本語教育の知識・能力がきちんと水準に達しているかどうか検定する試験で、合格者は日本語教師の有資格者となります。

要するに、420時間の講座に通えば取得できる資格ではなく、合格すれば「私、日本語教師としての知識・能力がきちんと備わっています!」と胸を張って言うことができます。

 

出願

出願期間:6月下旬~8月上旬

受験票 :9月下旬に発送

試験日 :だいたい10月後半

受験料 :14,500円

合否結果:クリスマス前くらい

 

合格できないと、かなりへこむ時期に合否結果配送されるんです。これ、正月までひきずります・・・清々しい気持ちで新年を迎えたいものです(;´∀`)

 

試験内容

【試験Ⅰ】90分 100点

基本的に、出題範囲の区分ごとに出題され日本語教育の実践につながる基礎的知識・能力を測定する。大問15でマークシート方式。

 

出題範囲
  1. 社会・文化・地域
  2. 言語と社会
  3. 言語と心理
  4. 言語と教育
  5. 言語一般

 

問題Ⅰは上記5区分から成っています。

「5区分なら少ないね!」と思ったあなた!さらに詳しく説明すると、5区分16項目から成っているので、けっこう難しいです。個人的な意見としては、試験Ⅰで7割取らなければ合格はきついかな~という感じです。 

 

【試験Ⅱ】30分 40点

試験Ⅰで求められる基礎的な知識・試験Ⅲで求められる基礎的な問題解決能力を測定する。音声を聞いて解答していく。大問6でマークシート方式。

 

時間は短いですが、音声を聞いて解いていくので、集中力とテンポの良さが求められます。配点が高く、テクニックも必要なので、何度も練習する必要があります。はじめは点が取れなくても、毎日練習することで必ず点は上がっていきます。20点後半~30点前半を目指してみてください。

 

【試験Ⅲ】120分 100点

出題範囲の区分横断的な設問により、熟練した日本語教員の有する現場対応能力につながる基礎的な問題解決能力を測定する。大問16でマークシート方式。最後の大問は記述式(配分20点)

 

試験Ⅲは、日本語教師として働き出すと理解できる問題が多かったです。もちろん、経験が無くても解けるようにはなっていますが、働き出してから「ああ!あの問題はこういうことか!」のようなヒラメキが授業中に何度かありました。

個人的には、この試験Ⅲが嫌いでした。笑
なんせ経験が無いので、イメージしづらく・・・。最後の記述なんて、時間もないし400字くらい書かなければならないし・・・長時間頭をフル稼働させた後の記述はキツイ。

講座の先生も「この記述で12点は欲しいね」と言う始末・・・埋めればいいってもんでもない。ちゃんと起承転結できて、理路整然としていなければ点数はもらえない。

週に1回は練習して書いて、誰かに添削してもらうのが良いと思います。
ちなみに、マークシートの問題は問題数80問なので配点は1点。

 

タイムスケジュール

試験は上記のとおり、試験Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの三部構成。

 

午前:試験Ⅰ

午後:試験Ⅱ・Ⅲ

 

途中、昼休憩をはさみます。午後1番の試験Ⅱの聴解で集中力を奪われ、試験Ⅲの頃にはヘトヘト状態。
とにかく体力勝負ですので、試験当日は万全の状態で臨んでください!!

 

合格基準

240点満点の試験ですが、記述が何点取れるかはわかりません。

記述の平均点がだいだい12点ほどなので、12点取れると仮定して・・・

マークシートで155/240点以上なければ合格は難しいかと思います。

155点でもギリギリ受かっているか分らない点数なので、余裕をもって160点以上。

だいたい7割以上取れれば合格の目安かと思います。

 

難易度

令和2年度の合格率は28.9%

約30%ほどですので、簡単な試験ではありません。

しかし、少しずつではありますが、年々合格率は上がっています

 

必要性

絶対に取らなければならない!という資格ではありません。
大卒であれば、日本語教師養成講座420コースを修了していれば だいたいの職場で働くことができます。
大卒でなくても、日本語教育能力試験合格を必須としていない職場もあります。
ですが、検定合格者が優先されている採用が多いのも事実です。

 

 

メリット

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では、日本語教育能力試験を受けるメリットは何でしょうか。

 

メリット
  • 合格できれば就職に有利
  • 日本語教育の知識がつく
  • 養成講座受講費用に比べると、費用が抑えられる
  • 昇給につながる
  • 日本語教師としての自信につながる

 

以上5点が考えられます。

では、ひとつずつ説明していきます。

 

合格できれば就職に有利

さきほどの【必要性】でも述べたように、合格できていれば職場の選択肢はグッと広がります。大卒であることを求めていない職場であれば、まず有利ですし、職場によっては検定に合格さえしていれば学歴が関係なくなる場合もあります。

 

日本語教育の知識がつく

この日本語教育能力試験の出題範囲は広く、丸暗記ではない理解力が求められる試験です。合格できずとも、この検定試験の勉強を続けることで、より深く日本語教育を理解することができますし、質の良い日本語教師になることは間違いありません。

 

養成講座受講費用に比べると、費用が抑えられる

日本語教師養成講座は50~60万ほど費用がかかるところがほとんどです。
※就職やサポート等、サービスがしっかりしているスクールの場合

講座を受講せずとも、検定に合格さえすれば日本教師として働くことができるので、費用はかなり抑えることができます。

ただ、実習はできないのと、独学は難しいのがデメリットです。

私が日本語学校で働き始めた時、一緒に採用された方が講座に通わず、独学で検定に合格された方でした。みんな尊敬の眼差しで見ていたのを覚えています。笑

みなさん、独学での合格がどれだけ難しいか、よく分かっていますからね。

 

昇給につながる

学校側の方針によるので確認する必要がありますが、検定に合格した場合、お給料アップにつながることがあります。数百円ほど変わってくるので、けっこうな額になります。

 

日本語教師としての自信につながる

合格できればもちろん、日本語教師として水準を満たしている証明になるので自信につながります。

合格できずとも、きちんと知識があることは学生との信頼関係にも影響します。「この先生はきちんと答えてくれる」という積み重ねが信頼関係を結びますから、日々勉強を続けて、日本語教師として質を下げないことが非常に大切だと思います。 

 

 

 デメリット

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次に、日本語教育能力試験を受けるデメリットを私の愚痴とともに見ていきましょう。

 

デメリット
  • 不合格の場合、年末年始がキツイ
  • モチベーションの維持が難しい
  • 体力が持たない
  • お金がかかる
  • 受かる気がしない

 

 以上5点があげられます。

ひとつずつ、見ていきましょう。

 

不合格の場合、年末年始がキツイ

これはもう、主催者側の悪意を感じますよね。なぜクリスマス前後に合否結果を発送するのか。早い人で春くらいから全精力をかけて勉強するのに、不合格だった時よ・・・!気持ちの切り替えに時間がかかるんです。

 

クリスマスケーキを爆食いして、これでもかってくらい食っちゃ寝正月をして、初詣でまた神頼みする。

 

もうそれしかない。

 

 

冬休み明けの日本語学校で、先生方が誰も試験結果について話さないのもあるあるです。

 

モチベーションの維持が難しい

理解できない問題に出会うと、よく言う人がいるんです。

 

「こんな問題できたところで、日本語教育に何の関係があるのよ!!」

 

気持ちはわかります。
毎日毎日、来る日も来る日も勉強して、それでも理解できない。「そもそもこんな勉強して、なにか意味ある??」とか考え始めますよね。

実際、日本語教師として働き出すと「意味があるな」と感じることは多いです。
でもスクールに通いながら、または教師としての経験が浅い場合、試験の意義とか考え始めちゃうんですよね。受けなくて良い、都合の良い理由とか探し始める始末。

 

そんなこと考える暇あったら、勉強しろ!と過去の自分に言いたい。

 

そして何より出題範囲が広い

転職組・主婦組は久しぶりの勉強なんですよ。脳がまだ勉強脳になっていない。
そりゃ大学受験とかに比べたら簡単なんでしょう。でも、脳の衰えもありますし、なにより勉強しても右から左に知識がサヨナラしていくんですよ。

 

繰り返して、反復勉強するしかない。

 

わけわからん横文字を必死に覚えて、何がなんだかワケワカメになりながら。

 

音声学ってなに、チョムスキーって誰それ、おいしいの( ˘•ω•˘ )??

 

狂ってきます。

 

50代で毎日10時間以上勉強する人もいます。

70代で過去問を10年分、10回は解いたという人もいます。

尊敬しかありません。

 

日本語教師として、この資格は取るべきだという理想論と、現実の自分の限界。

 

 

とにかく、モチベーションの維持が難しいって話です。

 

体力がもたない

モチベーションの話と少し関係があるんですが、働きながら勉強とか、まず体力が持たない。

10月から2学期が始まる日本語学校の場合、授業準備に費やされ、10月後半実施される検定試験の勉強なんか、1分だってできなかったです。

 

授業準備に何時間かかると思ってんだ!ベテランならまだしも!!

 

体力が続く限り、9月までには検定対策勉強を仕上げなければ、まず合格しません。

10月は無いと思って、9月まで走り続けてください。

 

あともう一つ、試験に対する体力。

1日がかりの試験、本当にすべてを持っていかれます。試験Ⅲが終わった後なんか、あしたのジョー状態。

 

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出典元:あしたのジョー コミックス20巻より

 

本当に灰になります。
試験後は友達とヤケ酒なり、ひとり晩酌なり、うっぷんを晴らす予定を立てておいた方が良いです。

 

お金がかかる

スクールに通うにしても、独学するにしても、検定対策として過去問は絶対に購入した方が良いです。その過去問にお金がかかります。
また、スクールで行われる模擬試験や検定対策講座、また検定に申し込む際の14,500円は必要経費です。

 

お金をかけたからといって合格するわけでもありませんが、ある程度は仕方ないかなっと思います。

 

また、なるべくお金をかけたくない気持ちは理解できますが、検定対策講座等で先生から裏ワザ等を聞けることもあるので、そういった場合はお金をかけた方が早いです。

 

受かる気がしない

もはや私の愚痴です。

とにかく、受かる気がしません。いくら過去問で良い点が取れるようになっても「これは所詮、過去問。今年の問題じゃない」とか思い始めて、全然取れる気がしないんですよ。

ポジティブに勉強をできる人の方が少ないんじゃないかと思います。

なんせ年1回の試験ですし、プレッシャーが半端ない。

やればやるほど、よく分からなくなってきますし。。。

 

でもね、やっぱり続けるしかないんですよ。

どんな試験だってそうだと思いますけど、自信たっぷりに受ける人の方が危なかったりします。

 

過去問1回も解いてない人も多いですし、真面目に受けていない人も多いです。

欠席する受験者もいますから、自分を信じて、試験を受ける勇気だけは捨てないでください。

 

受けるだけ、素晴らしいです。

 

 

まとめ

以上、日本語教育能力試験について【概要・メリット・デメリット】を説明しましたが・・・

私個人の意見としては、受かる受からないは別にしろ、検定試験の勉強はした方が良い!!です。

正直、養成講座に通えば誰だって日本語教師になれます。でも、みんながみんな日本語教師としての水準を満たしているかと言えば、それは違います。

検定合格は一つの目安であると同時に、自分の自信につながります。

日頃、学生に「勉強しなさい」という立場の人間が、自分は勉強し続けない。学生には「日本語能力試験(JLPT)を受けなさい!」と言って、自分は日本語教育能力試験を受けない。それは個人的に矛盾している気がします。

 

結局は、自分がどんな日本語教師になりたいか、それによるんですけれど。
私も今のところ続けていきたい仕事なので、日々勉強しなければならないと思っています。

 

受けない理由を探すより、少しでも受ける勇気を持って、挑戦し続けてください。
その姿が、学生にも伝わると私は信じています。

 

 

 以上、日本語教育能力検定試験ってなに??【概要・メリット・デメリット】でした。
これから受けてみようかな~という方!今年も頑張ろう!という方へ、少しでも参考になりますように。

 

 

 

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